株式会社ファインシンターの本社は愛知県春日井市にあります。大手自動車メーカー、トヨタの関連企業です。このファインシンターも、MNHのお取引先なのです。自動車部品を製造する会社がコオロギ事業に進出した経緯と活かせる強みについて、同社の浅野さんと佐藤さんにお聞きしました。
ファインシンターは自動車部品の製造・販売を行い、国内のカーメーカーとの取引がメインです。その他にも美容院や歯科医院にある椅子の油圧モーターポンプ、鉄道、産業機器など様々な部品を作っています。
その製造方法は「粉末冶金(ふんまつやきん)」という粉末を加工して形を作る技術を使います。
電気自動車の導入などにより自動車関連事業に変革が起きている中で、新たな事業を考えていこうと2020年に未来創生準備室ができ、この新しい部署でコオロギ事業が始まりました。新事業を検討するにあたり、自分たちが持っている粉末冶金の技術を活かせるものはないかを考え、当時、注目され始めていた昆虫食に着目。
浅野さんは「食糧問題や環境問題も考え、将来的に社会貢献ができるのではないか。さらに、我々が持つ粉末化の技術や熱処理の技術が使えるのでは?という点が決め手でした」と振り返ります。
事業内容は決まったものの、技術関連の社員たちが集まった新規部署なので、食品や業界に関する知識は全くありません。まずは日本よりも昆虫食が先行していた海外のリサーチから始め、次々に問い合わせてコオロギの購入先を見つけます。次のステップは、商品の製造。愛知県内でも20〜30社ほど問い合わせましたが、返事すらもらえないこともあり業界の違いを感じたといいます。
そんな中、MNHを見つけ、メールでのやりとりが始まります。MNHも最初は、自動車関連メーカーからの問い合わせに驚きました。さらに商品化する上でも、驚きがありました。通常は、食べやすいようにコオロギの配合量をかなり調整するのですが、ファインシンターからの提案はかなり大胆な配合量。結果的に味にインパクトが出て、他にはない、よりコオロギを感じられる商品「コオロギスナック」と「コオロギラーメン」が誕生したのです。
今では、春日井市のふるさと納税の返礼品として指定されました。立ち上げ当初は、社内からも地域からも「何をやっているんだ?」という雰囲気でしたが、社会福祉法人とも連携し、梱包の一部をお願いするなど、少しずつ昆虫食事業を知ってもらい、徐々に認知され始めました。
今後については「MNHさん含め、色々なご提案をいただきたいです。他では難しそうなことでも、是非弊社へご相談いただけたらと。私たちの技術はとにかく細かく滑らかな粉末にして金型に押し固めるので、大量生産できます。違う粉同士を均一に混ぜる技術もありますので、他の食品メーカーでは難しいことも弊社ならできます! どういうものが食品業界で求められているのか、ハードルの高い課題も挑戦していきたいですね」と、築いてきた技術とともに、新たな挑戦を待ち構えています。
コオロギラーメン
コオロギスナック