近年、昆虫食は話題となり、新規参入するプレイヤーが増えてきました。一緒に市場を盛り上げる仲間ができることは喜ばしいことです。
しかし私たちは、いち早く日本でコオロギビジネスを開始したという自負がありますし、責任も感じています。
先駆者である私たちがやるべきこと、やりたいこと。
それは自分たちが販売しているコオロギに自信をもって、食材としての魅力をより多くの人に広めていくことです。コオロギは環境にやさしく、高たんぱく質なスーパーフード。しかし食用コオロギに対して、抵抗を感じる人はまだ多くいます。ゆえに「コオロギ」という名称を「クリケット」にして、イメージを和らげるほうがいいのではないか。そんな意見をたくさんいただきました。
でもそれは、「消費者に対して正面から向き合っているのだろうか」と疑問に思うのです。たとえ、コオロギと知らずに買ってもらえたとしても、後でわかったとき、コオロギへの抵抗感がかえって強まるのではと考えました。
食用コオロギと理解したうえで購入してほしい。だから私たちの商品にはすべて「コオロギ」という名称がついているのです。正々堂々と「コオロギ」と書いていても消費者に満足してもらえるよう、自信をもって商品販売をしています。
まずは消費者が買いやすい価格で届ける。買って食べてもらえたら「意外と美味しいじゃないか」と思ってもらう。そうしてコオロギへの抵抗感を取り除いていきたいのです。
これからも「買いやすく、食べやすい。そして美味しい商品づくり」をモットーに、食用コオロギの需要を高められるよう努力してまいります。
昆虫食に関する雑誌を目にし、調査を開始したのが2016年のことです。
当時はまだ日本で昆虫食を取り扱っている企業はわずか数社だったと思います。世界を見ても、コオロギビジネスを展開する企業は多くありませんでした。
「自分たちが新規参入するには、まずコオロギの原料仕入が必要だ」ということで世界中飛び回って現地調査を開始。
私たちが1番最初に取引を開始したのは、カナダのエントモ社でした。エントモは世界で唯一オーガニック認証を受けているコオロギファームです。
―商品開発
エントモ社のコオロギを使って、第1号商品『未来コオロギスナック』が誕生します。
この商品誕生の裏側にはさまざまな葛藤がありました。『未来コオロギスナック』は乾燥させたコオロギそのままをチーズ味のスナックに混ぜたもの。開発担当者の間で「コオロギの形をなくすべきだ」「いや、そのままの形を残すべきだ」と意見がわかれることに。
最終的にはコオロギをそのままの形で販売するのですが、それはインパクト重視の意図以外に、別の理由がありました。
コオロギの原材料を受け入れて製造してくれるOEM工場がなかったのです。虫は食品の中に入ると「異物」になってしまう。異物混入と言われるリスクを考え、どこの工場も引き受けてくれなかったため、自社工場で『未来コオロギスナック』を作り上げました。
ようやく完成したスナックでしたが、今度はパッケージで議論を生みました。ここでもコオロギを見せる、見せないが論点となるのです。「やっぱりインパクトが大事だ!」と思って、見せるパッケージで販売を開始したのですが、まったく売れませんでした。
―最初のヒット商品が生まれるまで
初めて私たちの商品がヒットしたのは2018年のことです。
国立科学博物館で開かれた特別展「昆虫」という展示会の物販担当者が、まずは20袋をオーダーしてくれました。展示会関係者の中にはまだ、昆虫食を販売することに懐疑的な人が多かったそうです。
それがプレオープン初日に20袋すべて完売し、追加発注が入ったのです。最終的に、約3か月間のイベント期間中、5000袋ほど売れ雑誌でも大きく紹介されました。
昆虫展のアンケートには「昨今、話題の昆虫食に関する展示がなかったが、物販でそれを補完していたのが良かった」との声も。これは当時の私たちの原動力となりました。
―新たな商品開発
2019年に「無印良品がコオロギせんべいを販売する」というプレスリリースが配信されました。知名度のある大企業の参入。私たちは「これは昆虫食が話題になる!」と喜び、自社商品のラインナップを増やすことを決めました。
この頃には大手スナック製造工場がOEMを引き受けてくれていました。他社と協力して商品数を揃えていったのです。虫嫌いの人を考慮してパッケージも刷新し、外からコオロギが見えないものへとリニューアル。
ついに2020年5月に無印良品からコオロギせんべいが発売されると、一気に追い風が吹きました。
それまでは問屋、小売店、いくら営業してもまったく相手にされず。「異物混入で騒がれたらどうするんだ」「お客様が悲鳴をあげてしまうよ」などいろいろなことを言われてきました。大手企業が昆虫食を販売したことで、人々の意識が変わったと思っています。
「昆虫食は販売しても大丈夫なんだ」と理解され、私たちの商品への問い合わせが増えていったのです。
世の中のSDGsブームもあり、これまでのさまざま苦労葛藤がようやく報われはじめました。そして未来へと、着実に歩みを進めています。
―買いやすく、食べやすく、そして美味しく。
現在、コオロギの価格は100gのコオロギパウダーで約2000円。豚肉や鶏肉と比較すると約10倍の価格で、日常的に購入するには高い金額です。
いくらタンパク質量が豊富といっても、この値段では手を出しづらいですよね。これでは結局、肉の消費量は増え続けるばかりで、環境破壊も止められない。価格を下げて消費者が買いやすくする取り組みは、これまでも実施してきました。
たとえば、いきなり50g、100gのパウダーを売るのではなく、量を減らして2~300円程度のスナックとして販売するなど価格にはこだわってきましたが、これでは本質的でないと思っています。本当にコオロギ自体の価格を下げるには需要と供給のバランスを整えることが必要なのです。
昆虫食ビジネスに新規参入するプレイヤーが増えたこともあり、供給は十分すぎるほど整っています。その供給に対して、どのように需要を上げていくことができるのか……。
現在私たちが出している答えは、コオロギをそのままの形で販売することです。なにより、コオロギはそのまま食べたほうが絶対に美味しい!
しかし、どれだけメリットをお伝えしてもコオロギを食べない人は食べません。
なので消費者数を増やすことは現状難しいですが、消費量はまだ増やせると思うのです。コオロギの特性を理解すると、パウダーの販売では短期間にコオロギ消費量を増やすのは難しいとわかります。
―コオロギパウダーを販売しても消費量が増やせない理由①
コオロギパウダーを使った製品は、せんべいやクッキーなど固形物として販売することが主流です。
しかしコオロギパウダーの使用量を増やすと、固まりにくくなり、製品として成形できないのです。コオロギには油分が多いという特性があり、加工したパウダーにも多くの油脂が含まれているためです。
―コオロギパウダーを販売しても消費量が増やせない理由②
また、仮にコオロギパウダーを増やして商品開発できたとしても、一般的なスナックの相場価格より高くなってしまいます。
パウダーに加工するという手間賃が上乗せされるためです。
そもそもパウダー量を増やせない。仮に増やしたとしても価格が上がってしまうという悪循環になってしまうのです。
コオロギそのままの姿を使った『未来コオロギオツマミ』とパウダーを使った『未来コオロギスナックⅡ』。
2つの製品のコオロギ含有量は3倍も違います。量は3倍多くても、価格はほとんど変わりません。
消費量を増やして、今より低価格で販売することができたら、また新たな消費者を増やしていける。そして市場が拡大していけばさらに消費者が買いやすい商品開発を進めることができる。そんな好循環を生み出すことが私たちの使命だと感じています。
コオロギの消費量を増やすためにも私たちは、パウダー製品だけでなく、コオロギそのままの状態の商品開発を積極的に進めて参ります。
会社名 | 株式会社MNH |
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MNH Co., Ltd. | |
設立 | 2008年3月 |
資本金 | 9,000,000円 |
事業内容 | ・ビジネスモデルの直営による、商品企画・開発、食品製造、卸売 ・ビジネスモデルのノウハウ移転、ノウハウ提供事業 ・ビジネスモデルの開発 ・自社ノウハウを活用したOEM製造及びOEM開発コンサルティング ※その他、講演、セミナー、商品企画・開発支援なども行っています。ご相談ください。 |
所在地 | 【本社】〒182-0021 東京都調布市調布ケ丘1-34-1 【東京コミュニティ工場】〒182-0021 東京都調布市調布ケ丘1-34-1 【庄内コミュニティ工場】〒999-7781 山形県東田川郡庄内町余目字沢田108-1 クラッセ内 |
役員 | 代表取締役会長 菅 喜嗣 取締役社長 小澤尚弘 |
連絡先 | TEL 042-443-1351 FAX 042-443-1352 メールでのご連絡は、お問い合わせフォームからお願いします。 |
関連会社 | ソーシャル知財(株) 東京ガーデンフェンシングクラブ |
顧問弁理士 | 特許業務法人 コスモ国際特許事務所 |