KNT-CTホールディングスは、持株会社化に伴って2013年に「近畿日本ツーリスト株式会社」から商号変更された会社です。
〝旅行会社×コオロギ事業〟が生まれた経緯をKNT-CTホールディングスの夜久さん、佐藤さんにお聞きしました。
教育旅行の部署に所属し、修学旅行などを担当していた佐藤さんは、入社して3年目に新型コロナウイルスの影響を受け、担当業務が困難に。そんな状況の中、未来創造事業として新規事業開発部門の社内公募があったそうです。そこで自ら手を挙げ立候補、そして開発部門に異動し、企画を出すことになりました。
教育に関わってきたこともあり、子どもたちの未来の選択肢を増やしたい、SDGsに繋がることは何か考えていたそうです。そして、「小学2年生の時に学校の田んぼでイナゴを取り、先生が佃煮に調理してみんなで食べ、『虫って食べられるものなんだ!』と認識したことを思い出したのです」という佐藤さんの体験から、コオロギ昆虫食の企画が生まれました。
夜久さんは「食品については何も素人の状態で、旅行会社としてどうやって企画を繋げて事業化するかなど、本当に課題がたくさんありました」と振り返ります。
コオロギに関連した会社を探す中でMNHを見つけ、メールからやりとりが始まります。MNH側は、大手旅行会社からのコンタクトに最初は戸惑ったものの、2017年から昆虫事業を始め、業種を問わず様々なところから見つけてもらうのは大変嬉しいことでした。そして、単発の企画ではなく、昆虫食事業を未来へ向けて長期的に考えている点でも通じるものがあったのです。
2022年7月「地球にやさしくサステナブルに取り組む新たな旅のカタチとして、旅の醍醐味でもあるお土産もサステナブルに」というコンセプトのもと、コオロギのスナック菓子『旅する未来フード クリッピー』を発売しました。
イベントで配布したのですが、用意した分がすぐになくなり、保護者のアンケートでは「食べてみたい」「子どもに食べさせたい」という回答が多数見られ、佐藤さんは手応えを感じたと話します。
「修学旅行って子供達の未来の選択肢を広げてくれる一つだと思っています。そして昆虫食に携わり、旅をしなくても子どもたちの未来の選択肢を広げられることに気づきました。子どもたちは大人よりも昆虫食のハードルが低いと思いますので、学校などでも普及ができるのではと可能性を感じています」
夜久さんは「昆虫食事業は旅行会社と似てると思いました。提供するものがコオロギか旅行かという違いで、楽しさやコミュニケーションを生み出す仕組み、地域との連携など似ているのではと。今後も旅行会社としてのリソースを活かしながら、コオロギ事業を展開していきたいですね」と未来創造に目を向けています。
旅する未来フード クリッピー